相場の現在地

ボリンジャーバンドの±2σ、95%の予測範囲と思ってよい?

ボリンジャーバンドの「±2σ」を見て、「次の価格が95%の確率でこの中に収まる」と感じたことはありませんか。数字が付くと、つい確率のお墨付きまであるように見えてしまいます。でも、バンドの計算と、将来の価格が入る確率は分けて考えたいところです。

まず、線が何からできているか

中心は平均、幅はばらつき

標準的な形は、一定期間の単純移動平均を中心に、同じ期間の価格の標準偏差を使って上下の幅を決めます。標準偏差は、対象データが平均の周りにどれくらい散らばっているかを表す数値です。StockChartsの公式学習資料では、20期間の平均に標準偏差の2倍を足し引きする計算例が示されています。

2は幅を決める倍率

ここでの「2」は、標準偏差を何倍するかという設定です。期間や倍率を変えれば表示も変わります。初期設定を使っていることと、その設定で未来の確率が検証できていることは同じではありません。

架空例で平均100、標準偏差3、倍率2から上側106、下側94を計算した図
計算の説明用の架空例。実勢価格や売買の目安ではありません。

架空の数字で、計算と予測を分けよう

平均100、標準偏差3なら

計算の説明だけのために、ある時点で平均が100、標準偏差が3だったとします。倍率が2なら、上側は100+2×3=106、下側は100−2×3=94です。94〜106は、その仮定から計算した線の位置です。実際の為替や金の価格、売買の目安ではありません。

次の1本を保証する数字は入っていない

この足し算と引き算だけでは、次の終値がどこに来るかは分かりません。「計算した線の位置」と「その後に観測した価格が入った割合」は別々に記録する必要があります。後者を調べるなら、銘柄、時間足、対象期間、終値と高安値のどれを判定するかを先にそろえたいですね。

95%という印象を、そのまま持ち込まない

標準偏差を使っても、分布の前提は別

考案者John Bollinger氏は公式ルール14で、標準偏差を用いることから統計上の仮定を置かないよう注意しています。価格の分布や、計算に使う標本の小ささが理由として挙げられています。したがって、±2σという表記だけから「次の価格の95%予測範囲」と読み替えることはできません。

入った割合と、戻る確率も違う

仮に過去のデータでバンド内にあった割合を集計しても、それは「外へ出た直後、何本以内に中心へ戻ったか」とは違う問いです。内側に収まること、中心へ戻ること、取引で利益になることを一つの確率にまとめないようにしましょう。本記事では、そのいずれの確率も推計していません。

バンド内の割合、外から中心へ戻る割合、取引損益を別の問いとして整理した図
独自概念図。割合や利益を推計したものではありません。

チャートでは、確定した位置を丁寧に読む

接触だけで結論を急がない

上側に触れたから下がる、下側に触れたから上がる、と決まるわけではありません。公式ルール6も、接触それ自体を単独の売買シグナルにしないという考え方を示しています。まずは、線に対して価格がどこにあるかという観測として受け止めると、意味を盛りすぎずに済みます。

動いている足と、確定した足を混ぜない

終値を使う設定では、形成途中の足の価格が変わると平均や幅も変わり得ます。記録を比較する際は、同じ期間・倍率・適用価格にそろえ、確定足を基準にしましょう。「どの時点の線と、どの価格を比べたか」を残すことが、後で検証し直す助けになります。

バンドは、価格と最近のばらつきを一緒に眺める道具です。幅の数字を確率の約束に変えず、表示が教えてくれる範囲から少しずつ読んでいきたいですね。

参考資料(2026年10月23日確認):John Bollinger公式ルール、StockCharts ChartSchool:Bollinger Bands。

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