RSIが70を超えている画面を見て、「最近は7割くらい上がっていたのかな」と思ったことはありませんか。0から100の数字なので、割合のように見えるのも自然です。
ただ、RSIが比べているのは、上がった回数ではなく値幅の平均です。同じ回数だけ上がって下がっても、一回ごとの動きの大きさが違えば、数字は変わります。今日は架空の例で、この違いをほどいてみましょう。
RSIが集めるのは、終値の変化の大きさ
上昇と下落を、別々の箱に入れる
前の足の終値から3上がったら、上昇幅の箱に3、下落幅の箱に0を入れる。1下がったら、上昇幅に0、下落幅に1を入れる。下落もマイナスのままではなく、正の大きさとして扱います。
RSIの基本式に登場するのは、この上昇幅と下落幅の平均です。Fidelityの公式解説も、二つの平均の比からRSIを求める式を示しています。
70は、上がる確率の70%でもない
平均上昇幅を平均下落幅で割ったものをRSとすると、RSIは「100 − 100 ÷(1 + RS)」で求められます。過去の値幅を加工した数字なので、次の足が上がる確率をそのまま表すものではありません。
回数、値幅、これからの確率。この三つを分けておくだけでも、数字への早合点を減らせそうです。
上昇7回・下落7回で、75と25を比べる
初回の14期間だけで計算してみる
ここからは実際の相場ではない、計算用の架空例です。Wilder方式の期間14で、最初の平均を作る場面に限ります。終値の変化が14回必要なので、元になる終値は15個あります。
例Aでは、3の上昇が7回、1の下落が7回あったとします。上昇幅の合計は21、下落幅の合計は7。どちらも全14期間で割るため、平均上昇幅は1.5、平均下落幅は0.5です。上がった7回だけで割るわけではありません。
RSは1.5 ÷ 0.5で3。したがってRSIは100 − 100 ÷ 4で、75になります。上昇回数は半分でも、RSIは50ではないのですね。

回数を変えず、値幅を入れ替える
例Bは、1の上昇が7回、3の下落が7回です。平均上昇幅は7 ÷ 14で0.5、平均下落幅は21 ÷ 14で1.5。RSは3分の1となり、同じ式で求めたRSIは25です。
どちらも上昇7回、下落7回。それでも75と25に分かれるのは、値幅のつり合いが異なるからです。この二例は、上昇回数の割合とRSIが別の量だと確かめるためのものです。
いつもの画面では、前の平均も引き継ぐ
毎回、直近14本の単純平均に戻すわけではない
StockChartsの公式計算解説では、初回は14期間の単純平均、その後は前の平均を使って更新すると説明されています。
期間14なら、平均上昇幅は「(前の平均上昇幅 × 13 + 今回の上昇幅)÷ 14」。平均下落幅も同じ形で更新します。この平滑化を続けるため、先ほどの75・25の例を、日々の表示値の計算にそのまま置き換えることはできません。

70と30を、反転の約束にしない
RSIでは70や30がよく目印になります。ただ、Fidelityは、強いトレンドでは高い領域や低い領域に長くとどまる場合もあると説明しています。
高い数字が出たことと、その直後に値下がりすることは別の話です。目印に触れたら答えが出る、と急がずに、どんな値動きがその数字を作ったのかを眺めたいところです。
RSIを見比べるときに、そろえておきたい条件
期間14でも、日足と1時間足では材料が違う
日足の終値14回分と、1時間足の終値14回分では、扱う時間の長さが異なります。また、確定した足の値と、まだ動いている足の途中の値を比べれば、話がすれ違います。見比べる前に、時間足と確定状態をそろえておきましょう。
小さな表示差は、計算の出発点も確かめる
StockChartsは、平滑化に使う履歴の長さによってRSIの値が異なり得ることにも触れています。画面同士の差が気になったら、同じ価格データなのか、期間や計算方式は同じか、どこから計算しているのかを順に確認すると整理しやすくなります。
RSIを見るときは、まず「何回上がったか」から「どのくらいの幅で上がり、下がったか」へ目を移す。数字の意味がわかると、70や30との付き合い方も、少し落ち着いて考えられそうです。


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