FXを学ぶ

ドローダウンの最大額と最大率、同じ場面とは限らない

バックテストのレポートで、最大ドローダウンの横に金額と%が並んでいる。「同じ落ち込みを単位だけ変えた数字かな」と思ったら、別の欄では組み合わせが違う。少し戸惑うところです。

この違いは、計算ミスとは限りません。いちばん大きく減った金額と、いちばん大きく減った割合は、別の場面で記録されることがあるからです。今日はMetaTrader 5のレポートを例に、その読み方を整理してみましょう。

「最大」を何で選んだかを先に見る

Maximalは減少額、Relativeは減少率に注目する

MetaTrader 5の公式テストレポートでは、Balance Drawdown Maximalは残高の山からその後の谷までの減少額の最大値、Balance Drawdown Relativeはその減少率の最大値として説明されています。割合を計算するときの分母は、それぞれの山の残高です。最初に入れた金額で一律に割るわけではありません。公式の項目説明を見ると、何を基準に最大値を探しているかが分かります。

括弧の数字も、その場面との組で読む

Maximal欄の括弧には、最大の減少額を記録した場面の割合が付きます。一方、Relative欄では、最大の減少率を記録した場面の金額が括弧に入ります。それぞれが選んだ場面に付属する数字なので、欄をまたいで金額と%を組み替えると、もとの意味が変わってしまいます。

30万円の落ち込みより、20万円のほうが割合は大きい例

残高の大きさが変わると、比較の答えも変わる

ここからは仕組みを説明するための架空例です。実際の運用成績や、期待できる利益を示すものではありません。円建ての残高が100万円から80万円へ下がり、その後200万円まで回復・増加してから170万円へ下がったとします。入出金はなく、途中にこれより大きい落ち込みはないものとします。

場面 残高の山と谷 減少額 山からの減少率
前半 100万円から80万円 20万円 20%
後半 200万円から170万円 30万円 15%

金額の大きさでは後半の30万円、割合の大きさでは前半の20%が最大です。分母が100万円と200万円で違うので、この二つは無理なく両立します。数字同士がけんかしているわけではありません。

「30万円、20%」という一組にはしない

この例を欄ごとの組み合わせで表すと、Maximalは「30万円(15%)」、Relativeは「20%(20万円)」です。「最大額30万円」と「最大率20%」を別々の統計としてメモするのは構いません。ただし「30万円の減少が20%だった」と一つの出来事として説明すると、どちらの場面にも当てはまらなくなります。

MetaTrader 5の公式の計算例でも、割合が最大の区間と金額が最大の区間は分けて示されています。レポートを比べるときは、欄名ごと残しておくと読み違いを減らせそうです。

大きさの異なる皿と布を並べて、量と割合の違いを考えるイラスト
量と割合を別々に見るためのイメージです。数値を表した図ではありません。

Absoluteと、残高・有効証拠金の違いも確認する

Absoluteは最初の金額を下回った幅を見る

もう一つのAbsoluteは、初期入金額から、それを下回った最も低い残高までの差を見る項目です。今回の架空例では初期100万円、最低80万円なので20万円になります。これは「途中の山から最も大きく減った額」とは出発点が違います。初期額を一度も下回らなければAbsoluteがゼロでも、途中の山からの落ち込みがゼロとは限りません。

BalanceとEquityでは観察するものが違う

公式取引レポートの説明では、Balanceは保有中のポジションの損益を含まない残高、Equityはそれを含む有効証拠金です。残高の数字が動いていない間にも、含み損益が変われば有効証拠金は動きます。金額と割合の区別に加えて、どちらを測った欄なのかも見ておきたいところです。

たとえば二つのレポートを比較するとき、片方のBalance Drawdown Relativeと、もう片方のEquity Drawdown Relativeをそのまま並べると、観察対象まで変わります。「Relative同士だから同じ条件」とは言い切れません。

ノートに紙の目印を付け、記録を整理する手元のイラスト
記録を整理する場面のイメージです。

レポートには、数字の住所も残しておく

欄名・単位・期間を一緒に記録する

検証ノートに転記するときは「DD 20%」だけでなく、どの欄か、どの期間か、どんな条件のテストかを添えると、あとで比較しやすくなります。初期資金、取引数量の決め方、コスト設定が違う結果なら、その違いも横に置いておきましょう。数字は短く書けますが、条件まで短くすると迷子になりがちです。

今回の例なら「Balance Drawdown Maximal:30万円(15%)」「Balance Drawdown Relative:20%(20万円)」のように、組を崩さず記録できます。気になる場面は、履歴でいつ起きたかを確かめる手掛かりにもなります。

過去の最大値を、将来の限度にはしない

ここで読んでいるのは、指定したデータと条件で観測された落ち込みです。次の期間の損失がその範囲に収まることまでは示しません。大きい数字を一つ選んで安心するより、「何を測った最大値なのか」を揃えるほうが、検証結果を落ち着いて理解する助けになります。

金額と割合が食い違って見えたら、まず分母と欄名へ戻ってみる。そこが分かると、レポートの細かい数字も少し読みやすくなるはずです。

本記事はレポートの読み方を扱う一般的な学習情報です。特定の取引や運用成績を勧めるものではありません。

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