相場の現在地

金利もドルも上がった週、ゴールドの上昇をどう読む?

「米国の金利が上がり、ドルも強いなら、ゴールドは下がるはず」。普段の見方としては分かりやすいですよね。ところが、9月11日から18日までの週を振り返ると、その一行だけでは収まりません。

World Gold Council(WGC)の9月21日付週報は、前週に債券利回りとドルが上がる一方、金も上昇したと伝えています。対象は9月18日までの動きで、9月23日朝の金価格を示すものではありません。WGCの週報

まず、同じ期間を並べてみる

金の上昇はWGCの週次観測

WGCが整理しているのは、9月18日までの一週間です。同資料は、金の価格が上昇し、金ETFへの資金流入も地域をまたいでプラスだったと報告しています。ただ、資金流入だけで金価格の上昇原因が確定したわけではありません。WGC自身も、真の要因を見極めるのは難しいとしています。

米国債の利回りはどうだった?

米財務省の公表値では、10年物の名目利回りは米国日付の9月11日に4.96%、18日に5.01%でした。比較する二つの日付をそろえると、週末同士では0.05ポイント高くなっています。米財務省の名目利回り

同じ期間を示す二冊の資料と金色の金属片を机上に並べたイラスト
観測期間をそろえて材料を読むイメージです。数値や価格変動を表す図ではありません。

「金利が上がれば金は下がる」はいつも同じ?

金を保有する際の比較相手

金そのものには、債券のような利息がありません。ほかの条件が同じなら、利回りの高い資産と比べたときに金を持つ負担が意識されやすくなります。けれど、相場では「ほかの条件が同じ」とは限りません。金利と金価格の関係を、毎回一方向の決まりとして使うのは難しいところです。

名目金利と実質金利も分けておく

物価の影響を考えるときに参照される実質利回りも確認してみましょう。米財務省がインフレ連動債(TIPS)の市場価格から算出する10年物の実質利回りは、9月11日の2.60%から18日の2.68%へ上がっています。こちらも金の上昇と同時に起きました。ただし、名目利回りと実質利回りは別の系列です。数字を差し引いて、そのまま将来の物価上昇率や金の「適正価格」と決めることはできません。米財務省の実質利回り

ドル高と金高が重なるとき

「ドル建て価格」の見方にも限界がある

ドルが強まると、ドル以外の通貨を使う人には金が割高に見えることがあります。これも大切な視点ですが、需要やリスクへの備え、保有資産の組み合わせなど、金には複数の材料が同時に関わります。WGCは同じ週にドル高と金高が並んだと記していますが、それだけで特定の買い手や一つの原因を特定することはできません。

「関係が消えた」と急がない

一週間の例外から、金利やドルと金の関係が恒久的に変わったと結論づけるのも早そうです。週の中でいつ動いたか、別の期間でも同じことが続くかを見て初めて、読み方の手掛かりが増えます。WGCはアジア時間に価格上昇が多かったとも記していますが、時間帯だけで原因は分かりません。

金色の金属片と複数の資料を前に考える人のイラスト
一つの材料だけで相場を決めつけないためのイメージです。

9月23日から読み直すなら

9月18日で話を止めない

この週の動きは、そのまま今週の説明には使えません。米財務省の9月22日の公表値では、10年物名目利回りは4.96%、実質利回りは2.63%です。どちらも18日より低い水準になりました。金やドルの同日時点の値をこの記事で確認したわけではないため、そこから「金は今も上昇中」とは言えません。

まず日付と観測対象をそろえる

相場を振り返るときは、「9月11日から18日」「米国債の10年物」「ドルのどの指標か」「金はどの価格か」を一行ずつ控えると、違うものを一つの話にまとめにくくなります。今回のように並行して上がる週があっても、反対に動く週があっても、まず事実の期間と指標をそろえる。それだけで、見慣れた説明を少し落ち着いて使えるようになります。

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