相場の現在地

金の四半期騰落率2.12%、期間中の値幅17.22%とは何が違う?

「四半期で2.12%上昇」と聞くと、ゴールドは比較的落ち着いていたようにも感じますよね。ところが、同じ期間の高値と安値の開きは17.22%。二つの数字は、違う場面を見ています。

LBMAが10月14日に公表した2026年第3四半期の報告を手がかりに、期間の始めと終わりを比べる数字と、その間に広がった値幅を整理してみましょう。資料は2026年10月26日午前、日本時間に確認しました。以下は7〜9月の振り返りで、今日の金価格を示すものではありません。

四半期の「上昇率」と「値幅」を並べてみる

同じ期間でも、答えている問いが違う

LBMAの報告表では、7月1日〜9月30日の金の価格騰落率はプラス2.12%、安値から高値までのレンジは17.22%とされています。前者は期間の両端の比較、後者は期間内でどこまで価格が離れたかを見る数字です。どちらか一方が誤り、というわけではありません。

高値と安値には、それぞれ日付がある

報告にある安値はロンドン時間で7月1日午前の3,978.55ドル、高値は8月24日午後の4,663.70ドルです。金額は1トロイオンス当たり。9月末の価格と8月の高値を同じものとして読むと、四半期の姿が変わってしまいます。出典:LBMAの2026年第3四半期報告

二つのカレンダーカードとリボンで期間の始めと終わりを表すイラスト
期間の両端を比べる考え方のイメージです。実際の価格経路を示すものではありません。

騰落率は、期間の始めと終わりを結ぶ数字

途中の揺れは、両端だけでは分からない

一般に、期間騰落率は「終了時点の価格÷開始時点の価格−1」で考えます。途中で大きく上がった後に下がった場合も、何度も上下した場合も、両端が同じなら結果は同じになります。終着点の比較から、道中の静かさまで読み取ることはできないのですね。

架空の数字で見ると、違いがはっきりする

仕組みを説明するため、価格が100で始まり、途中で120になり、最後は102で終わる架空の例を考えます。最安値が100、最高値が120だったとすると、期間騰落率は2%、安値を基準にした高安値の開きは20%です。これは実際の金価格やLBMAの価格経路を再現した例ではありません。

高安値のレンジは、取れた利益や値動きの回数とは違う

17.22%の分母は安値

今回の掲載値に「高値÷安値−1」を当てはめると、約17.22%になり、報告表と整合します。反対に、高値から安値まで何%下がるかを計算するなら分母は高値になるため、同じ百分率にはなりません。値幅を率で表すときは、何を基準にしたかまで見ておきたいところです。

レンジだけでは、揺れ方は決まらない

高安値の開きは、期間内の極端な二点を使います。何度上下したのか、どの価格帯に長くいたのかは、この一つの数字には含まれません。日々の収益率のばらつきを測る標準偏差とも別の指標です。また、後から分かった高値と安値の差を、そのまま実現できた利益に置き換えることもできません。

高さの違うブロックの差を測る道具と金塊のイラスト
高低の開きを表す概念イラストです。実際の値幅や売買方向を示していません。

ゴールドの振り返りには、期間と価格の種類を添える

基準価格の集計と、手元の取引画面を区別する

LBMA Gold Priceは、ICE Benchmark Administration(IBA)が独立して運営するベンチマークです。報告にある午前・午後の価格を使った比較と、手元の連続した取引画面で観測した高安値は、対象が一致するとは限りません。今回の数字を、あらゆる市場の全約定を含む値幅として扱わないようにしましょう。出典:LBMA Gold Priceの説明

「どれだけ変わったか」と「途中でどう揺れたか」をセットに

週や月の相場を振り返るときも、最初に対象期間と価格系列をそろえ、騰落率と高安値の開きを並べると、受け取り方が少し変わります。さらに途中の経路を確かめれば、「終わってみれば小幅な変化」でも、その間に大きな動きがあった可能性を見落としにくくなります。

ただし、7〜9月の値幅が大きかったことだけで、これからの上昇・下落や同じ値幅の再現は決まりません。今後のゴールドを見る際も、金利やドルなど同じ期間の材料を別に確かめながら、過去の集計と先の見通しを分けて考えていきたいですね。

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