今夜の米新築住宅販売を見て、見出しの「年率○万戸」がその月に売れた戸数だと思ったことはありませんか。この統計の対象は、新築の一戸建て住宅です。販売のペース、売り出し中の戸数、在庫が何か月分あるかという、単位の違う数字が並びます。ドル円への影響を考える前に、まずこの違いをほどいてみましょう。
米国勢調査局は、8月分の新築住宅販売を米東部時間9月24日午前10時、日本時間では9月24日午後11時に公表する予定です。この記事は日本時間9月24日午前時点のものです。8月分の結果はまだ公表されていません。以下の数値は、8月25日に発表された7月分です。米国勢調査局の公表予定
「年率60.7万戸」は7月に60.7万戸売れたという意味?
ひと月の販売ペースを年換算した数字
7月の新築一戸建て販売は、季節調整済み年率で60.7万戸でした。これは7月に実際に60.7万戸の契約があったという意味ではありません。季節による変動を調整した月間のペースを12倍して、年率として表示した数字です。単純に12で割ると月間ペースは約5.1万戸。ただし、この割り算も実際の契約戸数を復元するものではありません。7月分の発表、統計局の用語説明
前月比だけで強弱を決めにくい
公表値では、7月の年率は6月の67.8万戸から10.5%低下しました。ただし、この前月比には±14.0ポイントの90%信頼区間があり、統計上は増減方向を断定できません。さらに、新築住宅販売は速報後に過去分が改定されます。8月分が出たら、8月の見出しだけではなく、比較対象となる7月の改定値も一緒に確認したいところです。統計局は毎月、前の3か月分を新しい報告とともに改定すると説明しています。7月分の発表と誤差の説明、調査方法と改定の説明

「売り出し中48.8万戸」は何を表す?
販売ペースではなく、月末時点の在庫
7月末に売り出し中と推計された新築住宅は、季節調整済みで48.8万戸でした。こちらはある時点で売り出し中の住宅の数です。年率60.7万戸という販売ペースとは単位も時間の取り方も違うため、二つの数字をそのまま大小比較しても、需要が強いかどうかは分かりません。米国勢調査局の7月分発表
在庫が増えた理由は一つではない
売り出し中の戸数は、住宅が新たに市場に出ることでも、売れるペースが変わることでも動きます。したがって、在庫の増減だけを「買い手が急に減った」と読むのは早そうです。販売と在庫を一組で見て、何が変わったのかを考えるほうが、数字に振り回されにくくなります。
在庫9.6か月は「9.6か月後に売り切れる」?
いまの販売ペースが続くと仮定した比率
7月の在庫月数は9.6か月でした。統計局の定義では、売り出し中の住宅を現在の販売ペースで割って求めます。7月分なら48.8万戸の在庫と、年率60.7万戸の販売ペースを月間換算して比べる考え方です。将来、本当に9.6か月で売り切れるという予測ではありません。販売ペースや新たに出る住宅が変われば、在庫月数も変わります。統計局の在庫月数の説明
販売件数が下がると、在庫月数は上がり得る
仮に売り出し中の戸数が横ばいでも、売れるペースが落ちれば、同じ在庫はより長い月数に相当します。7月は6月の8.5か月から9.6か月に上がりましたが、その一行だけで住宅価格や今後の販売がどうなるかを決めることはできません。

ドル円を見るときは、発表後にどこを確認する?
まず8月分と、改定された7月分を分ける
今夜の8月分が出たら、販売の年率、売り出し中の戸数、在庫月数を別々に確かめます。改定された7月分も見れば、前月比の土台が変わったかが分かります。速報値は後で直され得るので、一つの数字だけで住宅市場全体を言い切らないほうがよさそうです。
住宅統計と為替の間には、もう一段ある
住宅販売は米景気を考える材料ですが、発表が強ければ必ずドル高、弱ければ必ずドル安、とはなりません。金利への見方や同時刻のほかの材料、発表前に市場が何を織り込んでいたかによって、為替の反応は変わります。まず「年率の販売ペース」「月末在庫」「在庫月数」という三つの札を付け直す。数字を正しく並べるところから、落ち着いて読み始めたいですね。


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